せん妄とは

せん妄は、脱水、感染、貧血、薬物など、からだに何らかの負担がかかったときに生ずる脳の機能の乱れであり、主に次のような変化や特徴がみられます。

せん妄は、一般の病院に入院している患者さんの20～30%に見られる症状であり、病気が進行した時や、看取り（みとり）の時期でその割合はさらに上昇するといわれています。

せん妄になりやすい方

• 高齢の方
• お酒の量が多い方
• 認知症あるいは普段から物忘れのある方
• 視力が低下している方や難聴がある方
• 以前せん妄になったことがある方

せん妄は、体の症状のひとつであり、「気持ちの持ちよう」や「こころの問題」ではありません。ぼけてしまったとか、精神病になったわけでもありません。

適切な治療を行えば、半数以上の患者さんは症状改善するといわれています。

せん妄がもたらすもの

• 危険な行動の原因となる（知らないあいだに点滴やチューブを抜いてしまう、ベッドから落ちてしまうなど）
• 患者さん自身がつらさを感じる（頭が混乱して眠れない、不安になるなど）
• 治療がスムーズにすすまない、場合によっては中止の可能性もある（意識がくもった状態で意思がはっきりしない、治療のために安静をたもてないなどのため）

せん妄の治療

せん妄は、からだへの負担を原因とする脳の機能の乱れであるため、負担となったからだの問題をとりのぞくことが治療の基本となります。これに、　

• 脳の機能の乱れを改善するくすり
• 患者さんが安心できるような環境の調整　

をあわせていきます。

【お薬について】
脳の機能の乱れの改善に有効とされるくすりを使います。
・効き方には個人差がありますので、くすりは少量から用います。
・日中にも眠くなったり、ものが飲み込みにくくなったりすることがあります。
そのような場合は、すぐにくすりの量を減らす、他のくすりに変更するなどの対応をいたします。

ご家族のみなさまへ

患者さんの意識が混乱している時は、ご家族がそばにいるだけで患者さんは安心されます。

• つじつまの合わないお話があっても、無理にただす必要はありません。
• いつも通りの落ち着いた言葉がけをお願いいたします。
• 症状が強い場合は、主治医と相談の上、ご家族に付き添いをお願いすることもあります。
• 感染症の状況により面会制限を行っている場合があります。その際は、お電話で声を聞かせていただくことや、オンライン面会をお願いすることもあります。

患者さんのためぜひご協力をお願いいたします。わからないこと、お困りのことがありましたら、主治医、看護師などに、遠慮なくご相談ください。